習い事として吹奏楽団やオーケストラ(以下、「吹奏楽」という)に所属して通うことは、お子さんにとって学校に代わる居場所の一つとなり得ます。
なぜなら、音楽は心を癒す効果もありながら、他の団員と音楽を楽しみ交流できる場でもあるからです。
不登校となったお子さんの中には、不登校に至る過程の中で心が傷ついている方も多くいると思います。
そしてその傷は、簡単に癒えるものではないかもしれません。
音楽に触れる場で時間をかけて心を癒しながら、他の団員と新たな人間関係を築くことができるのは、吹奏楽に取り組む上で大きなメリットです。
また、吹奏楽では、異なる楽器を演奏する個々がそれぞれの役割を果たし、さまざまな音色が集まって一つの曲になっていく様子を感じたり、同じ楽器の演奏者同士で調和を楽しんだりすることもできます。
何より、楽器が上達していく様子は、自分自身でもわかりやすい部分が多く、お子さんが自分の上達を実感し、喜びや達成感を感じられるのも良い点です。
そして、吹奏楽は他の団員と合わせることを求められるため、お子さんのチームワークや協力性を養うことができる場でもあります。
時には、演奏においてリーダーシップが求められることもありますが、こうした機会はお子さんのリーダーシップスキルを向上させる機会にもなるかもしれません。
このように利点がたくさんある吹奏楽ですが、入団する前に必ず実際に練習を見学するなど、入団を希望する楽団についてよく知っておくことが大切です。
指導者によっても練習の雰囲気は異なり、よりレベルの高い音楽を目指して厳しい指導をされている団体もあれば、技術の向上よりも皆で楽しむことに重きをおいて指導されている団体もあります。
また楽団によって、演奏する楽曲、希望の楽器ができるかどうか、演奏会の頻度やかかる費用も異なるようです。
お子さんの希望と、入団先の条件や雰囲気が合っているかどうか、よく確認して入団することで、お子さんにとって安心して楽しめる居場所となる可能性が高まります。
【役立つ情報】外部リンク
- 吹奏楽、オーケストラ、ブラスバンドの違いを解説している記事(音楽室ハニホー♪)
演奏団体の代表的なものには、オーケストラ、吹奏楽、ブラスバンドなどがあります。 これらの団体は、複数の人が集まって演奏していますが、それぞれ楽器の構成や音楽の個性が異なります。お子さんが興味を持ったり、試してみたい楽器が含まれていたりする楽団に入団することがオススメです。
- 楽器の音色を試聴してみる(YouTube)
吹奏楽やオーケストラで使われる楽器の音色を聴くことができる動画です。楽団によっては入団にあたって選べる楽器が限られていることも多々あります。取り組んでみたい楽器を選び、その楽器ができる楽団を選ぶのも一つですし、入りたい楽団を選び、その楽団で募集のあった楽器に取り組んでみるのも、どちらも良いと思います。
- 楽団の例
NPO法人主催の団体
市区町村などの自治体が主催している団体(参考:江戸川区)
この二つの楽団を見ただけでも、集まる頻度、発表会の回数やかかる費用など、さまざまな違いがあります。本記事上でも述べていますが、お子さんの「どんな団体で、どんな風に、演奏していきたいか」という気持ちを大切に、ご家庭の状況もみながら楽団を選んでみてください。例えばお子さんが中学生の場合、「中学生 吹奏楽団(またはオーケストラなど) (通いやすい地域名)」といったキーワードでネット検索して楽団を探すことや、近隣の自治体で団員の募集がないか調べてみるのもオススメです。
- 不登校を経験され、音楽が居場所になった方の記事
(例)「不登校は生き方のひとつ」音楽を通して伝える“希望”とは (不登校新聞)
(例)「音楽が不登校生を変える」フリースクール国立音楽院の紹介記事(PRTIMES)
吹奏楽に関わらず、音楽を通して人との関わりや居場所ができた方はたくさんいらっしゃいます。お住まいの近くに吹奏楽団がなくとも軽音楽のメンバーを募集していることがあったり、防音などの練習環境に難があっても自室でDTMにチャレンジしてネット上で公開することもできたりと、音楽を居場所の一つにする方法は多くあります。ぜひお子さんが、より興味をもって取り組めることに挑戦してみていただきたいと思います。